ここでは、周麻酔期看護師の「役割」と「活動」についてご紹介します。
周麻酔期看護師 役割
周麻酔期看護師は、麻酔に関する高度な知識と技術を持った麻酔看護のスペシャリストです。
私達は、日々麻酔を受けられる患者さんに、より質の高く安全な麻酔が行われるよう麻酔科の医師と共に関わっています。
麻酔科の仕事は、「手術の際の麻酔」に限らず、「術前の患者評価と準備」「術後の疼痛管理および呼吸循環管理」
「鎮静下検査処置」「硬膜外分娩麻酔」「疼痛緩和ケア」「救急蘇生」を含む患者安全と危機管理など、
手術室の外の広範囲な診療が含まれており、様々な部署を横断した活動が求められています。
日々の看護業務に加え、研究活動や院内・外での勉強会や講義など幅広い活動を行なっています。
※ 参考資料
聖路加看護大学が目指す周麻酔期看護師
聖路加看護学会誌16 (1).p35-37.2012
著;宮坂勝之 片山正夫
周麻酔期の手術看護 第1章
日総研出版.2015
著;宮坂勝之
手術におけるチーム医療の推進と手術看護の役割拡大
周麻酔期看護師の活動の実際
手術ナーシング 4(4) .p90‐95 .2017
著;吉田 奏
周麻酔期看護師 実際の活動
主に聖路加国際病院での活動を中心に掲載しています。
現在の主な活動
「術前麻酔科診察」 「手術麻酔」 「術後疼痛管理」 「無痛分娩」
今後の活動
「内視鏡検査時の鎮静」「MRI検査時等の小児鎮静」など活動の場を広げていく予定です。
術前麻酔科診察
手術の前に患者さんの診察を行います。
カルテ内容からご病歴や身体所見・検査所見など事前に把握した上で、患者さんの問診と診察を行います。最終的にまとめた情報とアセスメントを麻酔科医師と共有し、患者さんの麻酔方法や問題点への対策準備をおこないます。
また麻酔方法や当日の流れなどの説明、質問への回答を丁寧に行うことで疑問解消や不安の軽減に努めます。
手術麻酔
麻酔科医師と共に、実際の麻酔の管理を担当しています。
手術中の患者さんの呼吸や循環状態の監視を直接担うこともあります。緊急手術や重症な患者さんへの場合、複数の麻酔科医師と共に診療のサポートを行います。
術後疼痛管理
手術や検査のための麻酔を終えた患者さんの、痛みの評価や痛みの緩和、硬膜外麻酔の管理などを行います。また麻酔による合併症がないか確認し、必要時継続した回診を行います。
無痛分娩
無痛分娩での硬膜外麻酔の管理をお手伝いします。お産の進み具合を見ながら、痛みや麻酔効果の評価を行い麻酔科医と産科医、助産師とチームを組んで、痛みを和らぎながら安全なお産を目指しています。
検査や処置時の鎮静
消化管の内視鏡検査や治療、血管内治療、放射線やMRI検査など安全にかつ安楽に行われるよう鎮静薬が使用されることがあります。この際、特に呼吸に影響を及ぼすことがあるため、患者さんの全身状態の観察を私達が専属で行うことでより安全な医療を目指します。今後、順次参画予定です。
教育活動
院内では手術室、外来、病棟部門を中心に麻酔に関連した内容の勉強会の依頼を多々頂いています。また院外からの勉強会のご要望などにも、適宜対応させて頂いております。
学会発表
積極的に学会や研究会などでの発表に取り組んでいます。
原著論文 一部紹介
① 赤沼裕子、大森崇之、阿部猛、片山正夫:周術期に影響を及ぼす、サプリメント摂取に関する実態調査:術前麻酔外来で服用中止指導を受けた患者の後方視的検討.日本手術医学会誌Vol39 (1) 7-14. 2018
② 赤沼裕子、片山正夫、宮坂勝之:麻酔後回復室(PACU)に新たに導入された、カプノメータによる呼吸数と目視法との比較. 日本臨床麻酔学会誌.Vol.36 No.7. 637-645. 2016
執筆図書
エキスパートナースの視点で要点解説!
周麻酔期の手術看護
執筆 吉田 奏 聖路加国際病院
監修 宮坂 勝之 聖路加国際大学大学院